2014.11.13 出された瞬間イラッとくる指示3つ更新。

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リスク回避=他人にリスクを預けること


仕事ができる人という定義は、デフレが本格化する前と後とでだいぶ違ってきているなというのはかなりいろいろなところで感じるのですが、中でも特に著しく正反対になったと思えるのが「リスク回避」という考え方だと思います。
どんな仕事、どんな業務においても100%成功するということはありえないわけで、そういったリスクをどんなふうに回避したり、対処をしていったりするかということが重要になってきます。
例えば製造工場内で落下事故や転落事故が頻発していることがわかった場合、それに対応するために工場内でヘルメットや安全服を着用するようにしたり、または工場内の規律を正して不用意な行動をしないようにするということです。
ですが、最近のできる人たちにとってはそういう地道な努力はどうも好まれなくなってきているのをひしひしと感じてしまいます。
リスク回避の最高の方法は、他人にリスクをかぶせること
円高の影響を受けて、倒産や廃業に追い込まれてしまったという中小企業が非常にたくさんいるそうです。
ということをタイトルだけでニュースを読むと、「ああ、国際競争に負けたんだな」と単にその企業内の経営者や生産性が悪いかのように思えますが、それは正解とはいえません。
あまり世間的に知られていることではないようですが、中小企業が銀行から資金を借りる場合、銀行側がこっそりとリスクが起こった場合の回避条項を勝手に盛り込んでいることが大きな原因になっているからです。

悪名高き「為替デリバティブ」が表立って問題になったのはほんの昨年のことですが、現在においてはさらに巧妙な手口でリスクを他人に預ける型の融資方法が行われているようです。
おそらく今この瞬間に販売されている投資・融資についての問題が表面化するのはまた数年後になるかと思いますが、特にこの数年内に販売された金融商品の契約内容を細かく見ていけば、何らかの問題が起きたときには末端の人間がそのリスクを負うことがほぼ必ず書かれているはずです。
汚いのがこういった投資関連の商品を販売するとき、売る側が「多少のリスクはありますが、リスクなく利益は得られません」とばかりに「リスクを負う人=前向きに投資をする前衛的な人」であるかの言い方をするという点です。
確かにリスクゼロで得だけできるわけはないのですが、問題なのは力のある方がない方に一方的にリスクを預けて、自分たちがこうむる損失を極力ゼロにしてしまおうという考え方があるからです。

別の例で例えをすると、はやりの原発建設事業に関してですが、安全性の問題とともに建設に対してコストがかかりすぎているということが批判されています。
事故が起きたときの東電の社長はコストカットにかなりの手腕を発揮したと言われていますが、原発におけるコストカットなんてのはまさに末端にリスクを押し付けるものそのものです。
原発で使われる材料は非常に厳しい基準が設けられていて、例えばネジ1本、配管の一部だけでも評価基準書という製品の材質や検査状況を示す書類を提出しないといけないことになっています。
ですが通常そうした評価基準書がつけられるような材料は単品で購入することはできず、極端な話、配管材料が50cmだけ必要な場合でも2m単位でなければ購入できないというような場合が普通です。
下請けとして工事を担当する業者が材料メーカーから仕入れをするとき、材料を50cmだけ購入しようとすると、バラ売りでは評価基準書はつけられないと言われてしまいます。基準書は1本単位で発行をされる書類であって、バラ売りしてコピーを配ると製品の質に問題が生じてしまうからです。
そこで仕方なしに2mで購入して原発側の元請けにその金額を請求すると、今度は「必要なのは50cmなのだから、量り売りをした分の金額しか払えない」と言われるわけです。
どうなるかというと、50cmの工事をするのに2mの材料を購入して、不要になった1m50cm分の廃材は下請けが負担することになります。
他で売ればいいじゃないかと簡単に思うかもしれませんが、特に原発で使われるような材質は非常に特殊で通常の工事には使わない規格をしているので、そんな都合の良い工事がまた別の件で来るなんてことはまずありません。
こうして下請け中小企業の在庫には、評価基準書のつけられなくなった要らない廃材1m50cmの切れ端のような不良在庫がどんどん積み重なっていくことになります。
中小企業は、原発側とメーカー側の両方からリスクを押し付けられたことになります。

さらに卑近な例で言えば、ある組織で仕事をするとき、失敗のリスクが高いと思われる内容については自社で引き受けずに外注をするか、または同じ組織内でも部下など最終的に自分に責任がかからない人にさせるようにするといった場合です。
下請けイジメとはよく言ったものですが、私の知る限り現在「仕事ができる」と言われる人や「今伸びている企業」と言われるところのほとんどが、こういうリスクを他人にかぶせる方法のあらかじめのリスク回避をしているように思えます。
冒頭に書いた工場内の例にあてはめてみるなら、感電や転落が頻発する工場内で働く人に対して、「事故が起きても文句を言いません」「事故が起きたら安全確認を怠った自分の責任であると認めます」という誓約書をあらかじめとっておくというのが新しいタイプのリスク回避・コストカット方法というわけです。

それはそれでよいと言う人も中にはいるかもしれませんが、こうした先読みのリスク回避の欠点は、想定外のことが起きた場合の対応力が非常に落ち込むということです。
リスクは人の体におけるストレスと同じで、全くない状態にしてしまうことはむしろ体全体の力を弱め活力を失わせるものになります。
先読みリスク回避がうまい人ほど、世の中のリスクは自分が考えた範囲の中でしか起こらないというおごった考え方があるようにも思えます。
リスクが常にあるという意識があるかどうかで、本当に身に迫る危険性が近づいたときの察知能力は大きく違ってきます。
結果論であり不謹慎なようで申し訳ないのですが、例えば世界的な金融危機や原発における地震発生のような誰にも予測のできない大規模な危険がいつ襲ってくるかは誰にもわからないわけです。
先読みリスク回避が通用するのは、あくまでも「今まで」が「これから」も未来永劫に続くことが前提となっている場合だけです。

個人的な意見としては、リスク回避に慎重になりすぎた結果、本当のリスクは何なのかということが何なのかを察知できなくなってしまっているのではないかと思うのです。

昔の上司で、いちいち自分の意見を言う前に「○○さん(専門家)が言っていた話では~」みたいに必ず前置きする人がいましたね。
あれももし突っ込まれても「私の意見ではないので」という逃げ道を用意したリスク回避だったんでしょう。

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